離婚の際に多いのが「子どもは自分が引き取る代わりに、養育費の請求はしない」といった約束を交わしているケースです。このようなケースでは、「取り決めたことだから養育費の請求はできないのではないか」ということで相談される方も多いです。
結論から言うと、「養育費を請求しない取り決めをしていても、養育費の請求はできる」ということになります。
もちろん、養育費は請求しないということを書面で取り交わししていても関係ありません。
そもそも、養育費を請求できる法的根拠として次の二つがあります。
①子ども自身の扶養される権利を、親が法定代理人として行使する
②子どもの扶養義務分担割合を親同士で決める
①のケースでは、子どもの扶養される権利を法定代理人である親権者とはいえ、勝手に放棄できるものではありません。ですから、このケースでは問題なく養育費の請求はできると思われます。
また、②のケースのように、養育費の分担について親同士で合意がなされた場合であっても、合意の妥当性について検討し、「合意後の事情変更」や「子の福祉を害する特段の事情の有無」などに応じて養育費の請求が可能となるかもしれません。